協会7号酵母は10%程度のエタノールを含むYEPD平板培地で増殖するが,それ以上のエタノール濃度になると増殖が停止する。今回高濃度エタノールを含む培地で増殖する突然変異株の取得を試み以下の結果を得た。 1.協会7号酵母をEMS変異処理し得られた突然変異株を窒素飢餓状態で30℃,約4週間,培養後,生残ったものの中から通常より高いエタノール濃度で増殖する清酒酵母を取得することが出来た。 2.変異株のうち最も増殖の良かった7-68株を用いて清酒醸造試験を行った結果,モロミ後半において親株に比べメチレンブルー染色率が低くなった。 3.7-68株を用いた醒においては醒期間全体を通して総酸度,アミノ酸度が親株に比べ低くなった。 4.今回行ったように窒素飢餓条件下で耐久性の高い酵母を選択することによって協会系酵母等の優良酵母から,さらにすぐれた性質を持つ実用酵母を取得する可能性が示された。 なお,本研究の一部は平成9年度日本農芸化学会大会において発表した。