LDNA類似度,電気泳動核型解析あるいは交雑実験における雑種株の不稔性に基づいて同定されている S.bayanus 15菌株のワイン醸造学的特性を S.cerevisiae 10菌株と比較検討した。 2.ブドウ果汁における S.bayanus の発酵は,発酵温度が7QCではS.cerevisiaeに比較して速く,良好であったが, 15℃では発酵後期にやや遅延する傾向であった。 3. S.bayanus には,ブドウ果汁の発酵においてグリセロール,リンゴ酸およびコハク酸の生成量が多く,酢酸の生成量が少ない菌株が数多く認められた。 4.供試の S.bayanzas すべてが,ブドウ果汁の発酵においてβ-フェニルエチルアルコール,チロソールおよび酢酸βワェニルエチルの生成量が多いことが認められた。このことは, S.bayanus に認められる特性の一つであると考えられた。