ワインから分離した産膜酵母( S. cerevisiae 6菌株および Candida sp. 1菌株)および産膜酵母標準3菌株に対するパプリカ種子抽出物, 亜硫酸, ソルビン酸およびいくつかのフェノール化合物の抗菌性を検討した。分離7菌株および Candida krusei (RIFY YTd3)を除いた標準2菌株( S. Serevisiae (RIFY3012)と Candida vini (RIFY2024))のいずれに対してもパプリカ種子抽出物は高い抗菌性を示し, そのMICは50~100μg/m l であった。また, 標準株 C. kmsei (RIFY YTd3)はパプリカ種子抽出物に対して耐性を示したが, 亜硫酸には感受性を示し, そのMICは25μg/m l であった。パプリカ種子抽出物に対して耐性が弱い標準株 Candida vini (RIFY2024)は, ソルビン酸および亜硫酸に対するMICが300μg/m l と高く, 菌株により特徴ある生育抑制傾向が認められた。 分離した S. cerevisiae 2菌株と Candida sp., 標準株 C. krusei (RIFY YTd3)および C. vini (RIFY 2024), 計5菌株に対するパプリカ種子抽出物とソルビン酸, 亜硫酸あるいは種々のフェノール化合物とを併用したが, 顕著な相加あるいは相乗効果は認められなかった。 ソルビン酸および亜硫酸は, pHが低いほど, またエタノール濃度が高いほど, 供試5菌株に対するMICは低下したが, パプリカ種子抽出物の抗菌性に対するpHの影響は小さかった。 以上の結果, パプリカ種子抽出物はワインの産膜酵母に対して強い抗菌効果が認められ, さらに亜硫酸あるいはソルビン酸との併用により抗菌スペクトルが広がり, ワインの産膜酵母による汚染を防止できる可能性が示された。