醤油諸味着色の主要因であるアミノ・カルボニル反応および製品醤油の酸化褐変の抑制を目的に, キシラン分解活性低下変異株を分離し, 淡口醤油醸造への利用を試みた。 (1) キシラン培地でハローを形成しない株をキシラン分解活性低下変異株として分離した。これらの株による醤油麹は, すべてキシラナーゼおよびキシロシダーゼ活性が共に低下しており, 両活性共に最も低下していたLX-02株の活性は, それぞれ親株の41%, 19%であった。 (2) LX-02株を用いて小仕込みを行ったところ, 諸味発酵熟成期間中のキシラナーゼ, キシロシダーゼ活性は, 常に親株での活性より低く推移し, 諸味液汁中のキシロース量も親株の約60%と少なく維持された。その結果, 生揚げ醤油の全窒素当たりの色度は親株のものより14%低かった。 (3) LX-02株を用いて得られた火入れ淡口醤油は酸化褐変が顕著に抑制された。 以上のように, キシラン分解活性低下変異株を分離, 利用することにより, 醤油諸味の着色低下と, 製品醤油の使用中における酸化褐変抑制が期待できる。