清酒麹中の酸性カルボキシペプチダーゼ活性の新しい測定法について検討を行った。この測定法は, 酸性カルボキシペプチダーゼの酵素反応によって合成基質 (Cbz-Tyr-Ala) からL-Alaを遊離させる反応と, この遊離したL-Alaを定量する反応から成っている。後者の反応は, L-Alaにのみ特異的に働くアラニンデヒドロゲナーゼを用いるため, 試料中のアミノ酸は測定には影響を与えず, そのため試料を透析せずに酸性力ルボキシペプチダーゼ活性を測定することができた。 Aspergillus oryzae 由来の酸性カルボキシペプチダーゼの最適反応pHは4.0近辺であり, 合成基質に対するKm値は0.45mMであった。本法と所定法により求めた測定結果の問には高い相関性が認められ, 再現性試験の結果も非常に良好であった。この方法は, 上記のように試料中のアミノ酸の影響を受けないこと, 測定操作が非常に簡便であること, しかも短時間に多数試料の測定が可能であることなどから, 清酒麹中の酸性カルボキシペプチダーゼ活性の測定に適していた。