ヘッドスペース固相マイクロ抽出法により, 北部九州産吟醸酒43点の高級アルコール, エステル, 遊離脂肪酸の分析を行った。 (1) 吟醸酒中には, 4.6322-51ppmのカプロン酸, 1.53-7.47ppmのカプリル酸が存在し, 香味への影響は大きいと考えられた。 (2) 酢酸エチルと中鎖遊離脂肪酸及び中鎖脂肪酸エステルとは強い負の相関があった。 (3) 中鎖遊離脂肪酸とその脂肪酸エステルには, 強い正の相関があり, カプロン酸エチル/カプロン酸の比率は0.24-0.30に集中していることから, 吟醸もろみ中の脂肪酸エチルエステル生成活性に差異はないと推定した。 (4) セルレニン耐性によるカプロン酸エチル高生産性変異株を用いたものでは, (1) カプロン酸, カプロン酸エチルが多い。(2) 酢酸エチルが少ない。(3) カプリル酸/カプロン酸比率が低い。傾向があった。