広島県立農業技術センターにおいて,「改良雄町」の短稈化と若干の早生化および優良な醸造特性の継承を目標として育成された「こいおまち」の醸造特性について「改良雄町」と比較検討を行った。 (1) 「こいおまち」は「改良雄町」に比べて心白発現率がやや低いものの, 米粒の長さ, 幅および厚さがやや大きく, 千粒重が約28gの大粒米であった。テストミルによる精米においては, 精米速度および真精米歩合に差は見られなかった。 (2) 「こいおまち」は口改良雄剛に比べて粗タンバク質含量は玄米, 白米ともに低く, PB/II/PB-Iは同程度であった。吸水性, 消化性においてはいずれもやや低いかほぼ同じ値を示した。 (3) 製麹試験において,「こいおまち」の製麹特性は「改良雄町」に比べて各種酵素活性にあまり差がなく, 同等であると評価された。 (4) 醸造試験において,「こいおまち」の醪経過は「改良雄町」とほぼ同様な経過を示した。製成酒の成分は, 一般成分では酸度がやや低く, 香気成分ではイソアミルアルコール, 酢酸イソアミルおよびカプロン酸エチルの濃度がやや高く吟醸香の高い酒質となった。 最後に, 本研究にご協力いただきました各酒造場, 広島米改良協会, 広島県経済農業協同組合連合会, 広島県酒造組合連合会, 広島県立食品工業技術センター発酵食品部谷本昌太研究員および藤井一嘉研究員に深謝いたします。