味噌の発酵に関する微生物のなかでも最も重要なものは酵母と乳酸菌である。前者についてはチゴサッカロマイセス・ルキシーを分離選択して純粋培養し, スターターとして味噌仕込み時に添加する香味の改良法が確立され, 広く普及している。乳酸菌は塩馴れを良くし, 香味のバランスを整え, 着色を抑制するなどとして, 40年以上前から味噌のスターターとして利用されてきたが, 乳酸菌を利用してもその効果のほとんど現われない場合や, 逆に乳酸, 酢酸の過剰生産も見られ, 乳酸菌の発酵管理は未だ完全には確立されていない。秋田味噌の高品質化に関して「秋田香酵母・ゆらら」を開発された筆者に, 今回は, 着色抑制力が強く, 酢酸生成, 味噌中のアミノ酸の変化も少ない有用乳酸菌について詳しく解説いただいた。