溶存酸素濃度を低減した条件下で清酒を保存すると, 官能的な品質はより長く保持されるが, これにどのような成分変化が関与するか検討し, 以下の結果を得た。 (1) 溶存酸素濃度低減により, 保存開始後30日において3-DG増加は57%に抑制され, 前報の着色度の増加抑制との関連が確認された。 (2) 同様に, 様々な蛍光物質および苦味成分ハルマンの増加が抑制されることが確認された。 (3) ハルマンの清酒への添加試験により, 濃度50ppb付近に, その苦味あるいは雑味の検知閾値があることが判明した。 (4) 遮光はハルマンの増加を抑える有効な手段であるが, さらに溶存酸素濃度を低減させ, これを50ppb以下に抑えることにより, ハルマンによる雑味および苦味の発生を抑制できることが明らかとなった。