沖縄の伝統的な蒸留酒である泡盛は, 亜熱帯の気候の中で硬質のタイ米と黒麹菌を使用し, 全麹仕込みで製造される。かなり厳しい条件下での酒造りであるが, 泡盛製造にはそれを打ち破る巧みな技が組み込まれている。最近は高度な技術も導入されつつあるが, 基本技術をおろそかにすることはできない。筆者は最近まで泡盛の技術指導の最前線におられ, 泡盛の事情に大変よく精通している。本稿では泡盛製造の基本技術にとどまらず, 歴史や市販酒の動向にも言及するなど, 泡盛の基盤固めと今後の展開を図る上で貴重な情報を提供している。また最近の泡盛は好調な出荷が続いており, 他の酒類業界にとっても本稿は大いに参考になると思われる。