1.高級酒造りの低温発酵において使用可能な酵素剤を開発し, 13製造場において留麹代替え及び上乗せの試験醸造を行った結果, 試験醪と対照醪には醪日数, 純アルコール収得量, 粕歩合ともほとんど差が認められなかった。 2.試験酒と対照酒の一般成分を比べてみると, アルコール分, 日本酒度, 酸度, アミノ酸度はほとんど差が認められかった。アミノ酸組成は試験酒で塩基性アミノ酸がやや多かったが大きな差ではなく, 香気成分も大きな差は認められなかった。 3.官能的には留麹代替え試験10点のうち2点で試験酒の方が有意に良好との結果となったが, 他の留麹代替え試験, 上乗せ試験では官能的に有意な差は認められなかった。 4.「グルク吟」を用いて吟醸酒, 純米酒などの高級酒の製造が可能であると考えられた。特に留麹の代替えとしての使用が効果的であった。 終わりに, 試験醸造にご協力いただきました13製造場の皆様, 官能評価にご協力いただきました日本酒造組合中部支部の若手技術者の皆様, 愛知県食品工業技術センターの深谷伊和男先生, 西田淑男先生をはじめとするスタッフの皆様に対して厚く御礼を申し上げます。