酒粕, SPI, 米糠, 小麦胚芽, 大豆胚軸の乾燥粉末系における抗酸化能を検討するとともに, それらの試料を添加したクッキーを調製し, 官能評価を行った。 (1) 乾燥粉末系において, 対照セルロースはAwにかかわらず大きなPVピークが出現した。これに対し, 米糠, 大豆胚軸は全Aw領域において顕著なPVの上昇は認められなかった。酒粕, SPI, 小麦胚芽は低Aw領域では抗酸化能が弱く, Awの上昇とともに強くなる傾向が認められた。 (2) Awにかかわらず抗酸化能がみられなかったセルロースの等温収着曲線において, Awの上昇にともなう相対水分含量の上昇はわずかであったが, 中間~高Aw領域で抗酸化能がみられた酒粕の場合は, 抗酸化能がみられた領域で等温収着曲線は上昇した。 (3) 試料を油脂支持体の25%添加したクッキーの抗酸化能と粉末試料の場合を比較すると, 前者の方がPVピークの高さは低下するが, 活性を示すAw領域は狭まった。50%にまで増量すると両者の活性Aw領域の差は小さくなった。 (4) 25%酒粕添加クッキーの官能評価は無添加クッキーの80%ほどであり, 他の試料添加クッキーの評価より劣ったが, その差は20%を超えるものではなく, 砂糖, 鶏卵などの添加により評価を向上させられる可能性が示唆された。