清酒醸造は, 段仕込みにより仕込水の少ない高濃度仕込みを可能とし, さらに並行複発酵によりグルコースを低レベルで連続的に供給することにより酵母に対する濃糖圧迫を避けて約20%もの高濃度のアルコールを含有する酒をつくるという世界に誇れる醸造法を特徴としている。しかしながら並行複発酵は, 原料を蒸米という固体状態で仕込むため蒸米の溶解が原料利用率に大きく影響する。筆者らは麹菌の生産する細胞壁溶解酵素が蒸米の溶解を大きく向上させることを明らかにした。醸造に関わる技術者の一読を進める。