糖の新しい分析法FACE法を用い, 大麦焼酎もろみに含まれる糖の分析を行った。この方法により, 大麦焼酎もろみ中のグルコースやアラビノース, キシロース, またその重合体を視覚的にとらえることができた。大麦焼酎もろみには, 大麦由来のアラビノキシランが多く存在し, もろみ中の酵素だけでは完全分解することが困難であることが示唆された。また, 大麦焼酎もろみ中の単糖類, 多糖類の経時的変化を視覚的にとらえ, 簡単に定量することができた。さらに, ヘミセルラーゼ濃度を変えて添加したもろみの比較を行ったところ, 酵素剤の作用によるアラビノキシランの低分子化がどのように起こっているかが明らかとなった。本報はFACE法がもろみのように複雑で変化しやすい組成を持った糖類の挙動を検討するために有用な手段であることを立証した。