著者らは, 味噌の香味多様化を目指して, 醤油麹菌胞子白色変異株の味噌醸造への利用を図ってこられた。しかし, 淡色辛口を特徴とする信州味噌において, 麹の褐変化は商品価値を損なわせる大きな問題であった。麹の褐変性は, 主に麹菌チロシナーゼのはたらきによるものと考えられる。麹菌チロシナーゼ遺伝子の発現抑制により褐変性低下株を育種することを念頭に, 麹菌実用株の形質転換系の開発を試みられた結果について解説いただいた。