国産キウイフルーツから白テーブルワインの製造に用いる酵母株を選択する実験を行った。酵母として, 国内でブドウワイン製造に用いられている酵母 S. cerevisiae W3 と OC2, ニュージーランドでキウイフルーツワインの製造に使われているワイン酵母, 及び清酒酵母とパン酵母を用いた。5種類の酵母株のアルコール発酵速度に大きな差は認められなかったが, グルコースとフルクトースの消費速度に差があった。ワイン酵母W3と清酒酵母はグルコースの消費速度が大きく, またフルクトースも他の3株よりも若干速く消費した。 5種類の酵母株で製造したワインの一般成分と有機酸組成に大きな差異はなかったが, 揮発性化合物とアミノ酸組成にかなりの差があった。各ワインを官能評価した結果, いずれの酵母株で造ったワインも, 色調がよく, 香りが高く, コク (フルボディー) があったが, パン酵母や清酒酵母で造ったワインよりも3種類のワイン酵母で造ったワインのほうが, フルーティーさ, フレッシュさに優れていた。3種類のワイン酵母の中では, S.cerevisiae W3 を用いて造ったワインが官能的に最上と判定されたが, 他の2つの酵母で造ったワインとの差は小さかった。