製麹において麹菌の増殖,酵素生産,代謝物生産に及ぼす品種と精米歩合の影響を調べるため2要因4水準の実験計画法に基づいて製麹を行い,二元配置の分散分析法で解析した結果,以下の知見が得られた。 1.麹菌の増殖に及ぼす品種,精米歩合の影響は,ともに統計的に有意差が見られなかった。 2.酵素活性に及ぼす影響は,α-アミラーゼ,グルコアミラーゼ,酸性ホスファターゼに対しては精米歩合の影響が大きく,高精白になるほど活性が低くなった。酸性プロテアーゼ,酸性カルボキシペプチダーゼ生産には品種の影響が大きく,精米歩合の影響は認められなかった。 3.麹中のアミノ酸含有量に対しては,品種・精米歩合とも危険率1%で有意差が認められた。山田錦の麹はアミノ酸含有量が少なく吟の精のi麹は多かった。高精白になるほどアミノ酸含有量は少なくなった。 4.麹中のアミノ酸で品種と精米歩合の影響が有意であったアミノ酸は,アルギニン,チロシン,フェニルアラニン,ヒスチジンなどの苦味アミノ酸であり,山田錦の含有量が少なく,高精白になるほど含有量は少なかった。 終わりに,奨学研究費を援助いただきました秋田県酒造組合にお礼を申し上げます。