選択培地がないため純粋分離・培養が困難な難培養・複合系微生物が天然には多く存在する。これらの微生物をDNAやRNAのレベルで認識し, 生態系での働きを解析する研究に関心が高まっている。これまで醸造微生物は純粋培養を前提に開発, 利用されてきた。しかし, それらは極一部の微生物であり, これまで認識できなかった難培養微生物や他の微生物との相互作用によってはじめて生育可能な微生物が存在し, 醸造物の品質に重大な影響を及ぼしていることが考えられる。本稿では醸造における難培養・複合系微生物の研究をレビューし, その解析法および今後の展望を解説していただいた。