(1) 麹米を焙妙すると, 麹米中心部に多くの空隙が生成した。さらに, この麹米を浸漬すると, 麹米の水分含量は60%程度にまで達した。これは, 焙妙することにより, 麹米の吸水性が上がったため, 水分含量が高くなったものと考えられた。 (2) 焙妙米の蒸米水分が38%以上46%未満になると, 自己消化率が著しく上昇した。これは, 単に蒸米水分が高いことだけが原因ではなく, 焙妙による効果も影響していた。 (3) 焙妙処理を行った梗米を麹米として製麹する際, 蒸米水分が46%を越えると製麹中に麹米が溶解した。 (4) 焙妙後, 蒸きょう工程をとらないH. B. M. 2により製造した梗米麹は, H. B. M. Iにより製造した梗米麹の酵素力価と比較して遜色はないが, 自己消化率は約30%程度低下した。これは, H. B. M. 2では麹米を水に浸漬する前に焙妙し, さらに, その後蒸きょう工程をとらないために, α化が十分にできていないことがその原因であると考えられた。 (5) 焙妙した梗米麹の割断面には良好な破精込みが認められた。これは, 焙妙処理による蒸米内部組織の崩壊が破精の形成要因であることを間接的に示唆していた。