同一ブドウ果を使用して試醸した甲州種白ワインで, かもし発酵したワインは液発酵のワインに比べて, 口中に残る後味の苦味が顕著に少なく, 成分的にはカブリル酸エチル及びカプロン酸エチルが少なかった。 そこで, エタノール溶液を用いた官能試験を行い, ワインの主要なエステル成分であるカプリル酸エチルが, エタノール濃度が8%(v/v) 以上の時に, 0.75mg/L以上の濃度で, この苦味を呈することを統計的に認めた。 白ワインのカプリル酸エチル量は, 新酒, 古酒に関わらず1mg/Lを超えており, 白ワインで後味として強く残る苦味の低減のためには, カプリル酸エチルの減少が望まれた。