1 アミロペクチンの側鎖長分布に各品種ごとの特徴が見られ, 酒造好適米 (9点) と食用米(5点)の平均値の比較では, 酒造好適米は, 短鎖 (DP:8, 9及び12) の比率が高く, 中長鎖 (DP:29, 39及び43) の比率が低かった。酒造好適米 (6品種) とコシヒカリとの比較では, 酒造好適米は, 短鎖 (DP:8を中心とするDP:7, 9) の比率が高かった。山田錦, 八反錦1号は, DP:36を超える長鎖の比率が低く, また, 五百万石 (福井, 大野産), おくほまれ, 八反錦1号はDP:24から36の中鎖の比率が低い傾向が見られた。 2 アミロペクチンのDP:6及び7の側鎖比率と120分吸水率が, DP:8及び9の側鎖比率と20分吸水率が正の相関を示した。また, 消化性 (Brix) は, 比較的長鎖(DP:35-41)と負の相関を示し, 逆に比較的短鎖 (DP:9-16) とは正の相関を示した。これらの結果は, 低温環境下で生育した米のアミロペクチンの短鎖/長鎖比率は大きく, 同時に清酒もろみで良好な溶解性を示すという経験的な事実と良く一致していた。 3 DSCパラメーター値のTp及びTcとアミロペクチンの長鎖(DP:43-51) が正の相関を示し, 逆に短鎖 (DP:7-11) が負の相関を示した。また, △Hも同様の傾向を示した。DSCパラメーターの測定は, アミロペクチン側鎖構造に関する情報を得ること, 引いては蒸米の消化性に関する情報を得るために有効な手段であると考えられた。 4 RVAパラメーター値のP及びBDが短鎖 (DP:8-12) と負の相関を, 中鎖 (DP:20-25) と正の相関を示した。SBは, 短鎖 (DP:8-15) と正の相関, 中鎖 (DP:26) と負の相関を示した。また, PTは長鎖 (DP:37-46) と負の相関を示した。RVAパラメーター値で見られた相関係数は, DSCパラメーター値ほどの高いものではなかったが, アミロペクチン側鎖構造とも関係があることを示すものと思われた。