水道水を電気分解して得られる電解生成水の蒸米溶解制御機構をイオンとORPの観点から検討し, 以下の結果が得られた。 1. HCI pH 4 aq.に塩化ナトリウムを加え塩素イオン濃度を酸性電解水に等しくしたCl-HCI aq.の蒸米溶解性への効果は酸性電解水より低かった。そして, HCI pH4 aq.に塩化ナトリウムと塩化カルシウムを添加し塩素イオンとカルシウムイオンを酸性電解水に等しくしたCl・Ca-HCI pH4 aq.の溶解性は酸性電解水と一致した。このことより酸性電解水の蒸米溶解促進効果は塩素イオンとカルシウムイオンによることが確認された。この効果はα-アミラーゼの初期の活性が高いことと酸性プロテアーゼの抽出を促進させたことによることが示唆された。 2. 水素ガスをバブリングしてORPをアルカリ性電解水に合わせたH2-NaOH pH 11 aq.はアルカリ性電解水と同等に蒸米の溶解性を抑制した。このことより, アルカリ性電解水の蒸米溶解抑制効果はORPが原因であることが確認された。 これは, アルカリ性電解水のORPがα-アミラーゼと酸性プロテアーゼの抽出を抑制したことが蒸米の溶解性を抑制した要因であることが示唆された。