植物性食品を中心とした食事を摂取しているとされている曹洞宗の禅宗修行僧を対象に, 栄養摂取状況や健康状態に関する調査を行い, その食生活が生活習慣病の予防, 改善に応用できるか否かについて検討を行った結果, 以下のことを明らかにした. 1) 禅宗修行僧の栄養摂取状況は高炭水化物, 高食物繊維, 低脂肪, 低コレステロールであったが, 特に動物性食品非摂取群で顕著であった. 2) このような禅宗修行僧の食生活は, エネルギー消費量が比較的高い生活習慣とあいまって, 生活習慣病の予防, 改善に有効に作用する可能性が示唆された. 3) 禅宗修行僧の一般血液検査値および生化学検査値は良好であることから, 脂質やコレステロールが低い食生活を継続したとしても, 健康状態に問題が生じる可能性は低いものと考えられた. したがって, 禅宗修行僧の食生活は, 中性脂肪, 総コレステロール値を基準値内に下げなければならない者にとって, 参考になるものと考えられた.