健康増進教室受講者の指導前後の栄養状態を比較し, 指導による改善効果を検討した。 北九州市で実施されている健康増進教室では, 12週間の栄養・運動指導と, 開始・終了時に医学検査と問診を行っている。今回は, 1994~1998年度の受講女性372名を解析対象とし, 指導前後の食習慣と栄養状態を, 肥満及び高血圧の有無別に検討した。 対象者は36~64歳で, 指導前は肥満73.9%, 高血圧50.0%であったが, 終了時には各々61.6%, 26.9%に減少し, 体脂肪率や血圧, 総コレステロール, 中性脂肪等は有意に低下, 最大酸素摂取量やHDL-コレステロールは有意に増加した。また, 指導後は, 肥満群でほとんどの食習慣項目に改善がみられ, 指導前から好ましい食生活であった高血圧群でも, 野菜や果物, 塩分摂取に有意な改善がみられた。 健康増進教室への受講は, 生活習慣を見直すきっかけとなり, 好ましい習慣を身に付けることにより, メタボリックシンドロームや生活習慣病のリスク低下に有効であることが分かった。