在宅高齢者の健康状態, 歯 (咀嚼) と喉 (嚥下) の具合ならびに食生活の現状を把握するための調査を行い, 以下のような結果を得た。 (1) 健康状態 健康状態は, 80歳代までは年代の上昇に伴い低下する傾向にあったが90歳以上では逆転していた。 (2) 歯 (咀嚼) と喉 (嚥下) の具合 自歯の無い者が20%以上いた。残存歯数は平均11本 (残存率33.8%) であり, 年代 (年齢) の上昇に伴い減少していた。 入れ歯の装填率は80%を上回っていた。残存歯が19本 (残存率59.4%) 程度以下になると装填率が特に高くなり, それを上回った場合は装填率が大きく低下していた。ただし, 入れ歯の装填状態に不具合を感じている者が多数見受けられた。 「噛み具合」に不都合を来している者 (19.6%) は「飲み込み具合」に不具合を感じている者 (7.8%) よりも多かった。なお, 「噛み具合」の程度以上に, 「飲み込み具合」の程度が, 健康状態と強く対応していた。 (3) 食事内容 米飯を主食として摂取している者が圧倒的に多く, とくに朝食で顕著であった。一日の食事では, 朝食が栄養や食品のバランスが取れていると見受けられた。昼食では一皿メニューの利用が多いので, 栄養補給の点で問題である。デザートとして果物類がよく食されていた。 漬物の摂取頻度は, 年代 (年齢) の上昇, 健康状態の悪化, 噛み具合や飲み込み具合の低下などに伴い減少していた。それ以外の食物ではとくに対応関係は見られなかった。 市販の高齢者用食品を利用している者は多くなかった。その一方で, 「あれば良い (便利な) 食品」として高齢者用食品を掲げる者も少なからずいた。 上述した(1)~(3)の解析結果に基づいて, 今後の改善点を指摘した。