遺伝子組換え農作物を栽培・生産する可能性のある農業従事者 (生産者群) から, その農作物を用いて商品化する食品開発者 (企業群), 商品を流通・販売する流通業者 (流通群)。そして, 最後に購入消費する一般消費者 (消費者群) の各立場から, 遺伝子組換え農作物を生産から消費までの4群間で, 食品に関わる立場の違いで遺伝子組換え技術や食品について, どう感じ受けとめているか, 意識調査を行った。その結果, 以下のことが示唆された。 (1) 企業群は他群に比べて, 遺伝子組換え技術に関心があったが, 消費者群は技術より遺伝子組換え食品に関心があった。 (2) 食糧生産または食糧生産以外に遺伝子組換え技術を適用することは有害だ, と思う者の割合は, 食糧生産または食糧生産以外のいずれに対しても生産者群, 消費者群, 流通群, 企業群の順で多かった。 (3) 遺伝子組換え技術の有用性と弊害の認識で, 生産者群・消費者群と企業群・流通群で明らかな相違がみられた。 (4) 信頼できる情報源として, 新聞に対する評価が, 他の行政や大学の研究者に比べて低く, その傾向は, 企業群・流通群で顕著であった。 (5) 情報公開への責任はどの機関に対しても求めており, 多くの国民層に対して, 地道に情報交換・コミュニケーションの機会を拡げていく責任があると考えられる。