本研究は, 味噌の摂取により健康を維持増進する研究の一環として, ニンニク, ダイコン, ゴボウ, タマネギ, 白ネギ, 葉ネギ, チンゲンサイ, ブロッコリー, ナスとピーマンを用い, 野菜が味噌の抗酸化力に及ぼす影響を in vitro 系と ex vivo 系で調べた。 in vitro 系では, 野菜の味噌煮液がSOSAに及ぼす影響を調べた。 ex vivo 系では, ラットの摘出肺のホモジネート抽出液に野菜の味噌煮液を加え, SOD様活性, GSH-Px様活性への影響を調べた。また, 還元力を確認する他の方法として肺ホモジネートに野菜の味噌煮液を添加し, 12-HETEの生成量への影響を調べた。 ニンニク, 葉ネギ, チンゲンサイとブロッコリーの味噌煮液は味噌のSOSAを増大した。しかし, この in vitro 系におけるSOSAへの影響は必ずしも ex vivo 系におけるSOD様活性への影響と一致しなかった。 ex vivo 系のデータを重視すると,実験結果から次のことが示唆された。ニンニク, 白ネギ, 葉ネギ, チンゲンサイやピーマンの味噌煮液は活性酸素消去力と過酸化物還元力の両方を増強し, タマネギの味噌煮液は活性酸素消去力を増強し, ダイコン, ゴボウやナスの味噌煮液は過酸化物還元力を増強することによって味噌の生体内抗酸化作用を増強するであろう。したがって, 上記野菜類を味噌汁の具に活用すると, 味噌の生体内抗酸化力は増強される可能性があると推測される。