β-アポ-8' -カロテン酸に賦形剤を加えて水溶化したカロフィルイエローの還元代謝すなわちレチノールへの代謝変換を調べる実験を行なった。 35日間ビタミンA欠乏飼料で飼育したラットに8日間カロフィルイエローを投与し, 体重の変化を調べた。ついで血漿および肝臓中のレチノール, 3,4-ディデヒドロレチノール, レチニルパルミテートを分析した。 その結果, 体重増加量は対照区に比べカロフィルイエロー区では1.4倍であった。また, カロフィルイエロー区では, 血漿中のレチノールが平均で1.9nmol/mL, 3,4ディデヒドロレチノールが平均で1.8nmol/mL検出され, これらは対照区に比べそれぞれ2.3倍と2.2倍であった。また, 肝臓中のレチノールは平均で1.6nmol/mL, 3,4ディデヒドロレチノールが平均で1.6nmol/mL検出され, これらは対照区に比べそれぞれ1.9倍と1.4倍であった。 このことから, ラット体内におけるカロテノイド代謝によるレチノールと3,4ディデヒドロレチノールの含有量が比較的近似的に拮抗しているのは脱水素による可逆反応を伴うためであることが示唆された。