Y市およびK市の60歳以上の地域在宅高齢者に対して, 2007年6月~8月に, 食品摂取, 食品選択動機について調査し, 食品選択に対する認知が食品摂取に及ぼす影響を検討した。 1) 男女ともに, 体によいことや栄養素が含まれることを重要であると捉えて, 健康や栄養認知に重みをおいた判断を行っていた。反対に, 価格や支度に要する時間の認知に重みをおいた判断は弱かった。 2) 食品選択動機の認知は, 男性より女性の方が強く, 「栄養と健康」「感覚的快楽」は女性の認知が高かった。 3) 男性では, 「栄養と健康」に対する認知が高いと, 「海そう類」の摂取頻度は高くなり, 「低カロリー」に対する認知が高いと, 「冷凍食品」の摂取が高くなり, 「卵」の摂取頻度は低くなると考えられた。また, 「入手の容易さ」に対する認知が高いと, 「惣菜」の摂取頻度は低くなると考えられた。 4) 女性では, 「低カロリー」に対する認知が高いと「卵」の摂取頻度は低くなると考えられた。また, 「入手の容易さ」に対する認知が高いと「麺類」や「インスタント食品」の摂取頻度は高くなり, 「漬物」「大豆製品」の摂取は低くなると考えられた。「感覚的快楽」に対する認知が高いと「漬物」の摂取頻度は高くなると考えられた。 以上より, 食品選択動機が, 食品摂取頻度に影響を及ぼすことが示された。