大豆の糖尿病における高血糖値抑制効果について検討するために, 2型糖尿病モデルであるKK-Ayマウス (雌) を基本飼料に生大豆を添加した生大豆群, 基本飼料に蒸大豆を添加した蒸大豆群および基本飼料群の3群に分けた。各群の体重, 餌摂取量, 水摂取量, 血糖値および尿糖値濃度を測定した。 KK-Ayマウスの血糖は, 加齢に従って増加するが, 生大豆群においては6週目までほとんど増加が見られず他群に比べて低値を示した。3週目から6週目までは生大豆群の血糖値は, 基本飼料群に対して低く ( P <0.01) 統計的に有意の差を示した。その後, 他群よりは低い傾向にあるものの緩やかな増加が見られた。蒸大豆群では, 血糖値は投与3週目まで基本飼料群に比べて有意に低かった (投与3週目は P <0.05) が, 加齢と共に増加し基本飼料群と差が見られなかった。水摂取量においても, 基本飼料群では経時的に増加する傾向を示したのに対し生大豆群ではほとんど変化せず, 7~8週目頃から緩やかに増加する傾向を示した。蒸大豆群の水摂取量は, 実験期間を通じて生大豆群より多い傾向が見られたが, 基本飼料群より常に低い傾向が見られた。また尿糖値は, 生大豆群は他群よりも低い傾向にあった。生大豆群および蒸大豆群の尿糖値は, 投与3, 6, 7週目では, 基本飼料群に対して有意の差を示した ( P <0.05 or P <0.01) 。一方, 生大豆群の体重は他群と差違なく増加した。 以上のことから, 生大豆粉末投与により, 加齢による2型糖尿病の血糖値上昇を遅延させる効果が認められた。この作用は大豆粉末の加熱により減弱したことから, 大豆中の易熱成分が関与している可能性があるものと推定された。