ダッタンソバ粉の調理における有効利用の一例として, 湿熱処理を行いルチナーゼを失活させたダッタンソバ粉の添加量を変えたクッキーを調製し, ダッタンソバ粉添加クッキーの製造における最適な配合割合を明らかにすることを目的として本研究を行った。品質に関わる項目としての破断強度, 体積・重量, スプレッド値, 焼き色の測定および官能評価を実施すると共に, 機能性評価の一端としてペルオキシラジカル捕捉活性を測定することで抗酸化能を評価し総合的に検討した結果, 以下の知見が得られた。 (1) ダッタンソバ粉を添加することで膨化が抑制され, 破断応力が低く, 軽い食感のクッキーとなった。 (2) ダッタンソバ粉の添加量が増えることで, 暗く赤みの強いクッキーとなった。 (3) ダッタンソバ粉添加量の増加により, クッキー中のルチン含量が増加し抗酸化能が向上した。 (4) 官能評価ではダッタンソバ粉50wt%添加クッキーが総合評価で最も好まれた。 以上のことから, 湿熱処理でルチナーゼを失活させたダッタンソバ粉を50wt%添加したクッキーは, 味や食感が好ましく, 高い抗酸化能を有しており, 品質および機能性面から最適の配合割合であることが明らかとなった。