食酢製造企業にとって, 夏場に長期間, 無色透明ビンに入った食酢製品の透明度を維持することは重要であるため, 小売店で陳列されるまでに凝集物の発生をより正確に速やかに予測する必要がある。これまでの伝統的な手法は, 高温で高分子凝集を促進させることを意図した60°Cでの加速試験であり, 凝集物の発生を肉眼で観察するものだが, 1~2日以内での判定は難しかった。そこで, 加速試験で60°Cよりも高温化する手法, 加熱による各分子量領域の高分子濃度の変化を解析する手法, 色素結合性高分子の濃度を解析する手法を試みたが, 信頼性は不十分であった。一方, 膜濃縮後の濁度を測定する手法では, かなり好ましい結果が得られた。すなわち, 各食酢製品や凝集物を発生しやすくする物質を添加した食酢などを用いて調べた結果, 食酢原料の種類や製法にかかわらず, 37°Cでの凝集物発生速度は, 食酢の膜濃縮液の濁度によって比較的高い確率で予測できることがわかった。食酢の60°C加速試験の問題点も最後に指摘した。