スギ精英樹クローンについて, 幹材中の炭素貯蔵量に関係する樹高, 胸高直径, 容積密度および炭素含有率の改良効果を試算した。樹高と胸高直径の遺伝相関は0.96と高く, 樹高を改良することで胸高直径も十分改良できることが示唆された。容積密度の遺伝率は0.78と高く, 成長形質と同程度の改良効果が望めるが, 炭素含有率は変異が小さいため (変動係数0.3%), 大きな改良効果は期待できないと考えられた。選抜形質に樹高と容積密度の2形質を用い, 各形質の経済的重み付け値を変動させ, 炭素貯蔵量の改良効果が最大になる選抜指数式を求めた結果, 指数式はI=2.8×樹高+18.87×容積密度であった。上位38%のクローンを選抜し, さし木による普及を想定すれば, 樹幹中の炭素貯蔵量は選抜前の集団平均値と比べて21.4%向上することが予測された。選抜されたクローンは, 容積密度よりも樹高に重み付けされる傾向にあった。