スギ雄性不稔の交配家系から不稔個体を選抜する期間を短縮するため, 10月にシャーレで発芽させたスギ種子を, 水苔を詰めたビニールポットに植栽し, 人工気象器で培養した。培養した個体は, 4月上旬に温室に移し育成した。7月上旬, 苗に100ppmの濃度でジベレリン処理をして, 花芽の分化を促進した。12月に育成した苗から雄花を採取し, 花粉の有無を調査するとともに, 樹高, 根元径, 枝張り, 雄花の房数, 雌花数を測定した。苗の形状や雄花の着花特性は1ポットあたりの植栽本数によって異なった。1ポットあたり5本以上の植栽では, 苗が小さく, 雄花の着花しない個体, また, 着花しても可稔を不稔と誤判定する可能性があった。しかし, 1ポットあたり4本以下の植栽では, 正常な雄花が着花することから, 筆者等が開発した育苗方法によって, スギ雄性不稔の交配家系からの不稔個体を選抜する期間を著しく短縮できることが明らかになった。