土砂流出抑制機能に配慮した森林整備方法に関する知見を得るために, 森林施業と浮遊土砂に関する過去の研究例を整理した。森林伐採の実施や森林整備が不備な場合には, 浮遊土砂濃度などが増加する例が多い。伐採後に増加した浮遊土砂濃度や流出量は, 年数が経過するにつれて徐々に減少する傾向を示す。林道・作業路・集材路などの林内路網は, しばしば崩壊や侵食を引き起こす要因となる。森林施業にともなう車両走行は, 土壌の圧密を引き起こし, 土壌物理性の低下や植生回復の遅れに繋がる。浮遊土砂流出の増加を抑制する森林管理の方法は, 流路沿いの緩衝林帯の保全, ならびにできるだけ林地を攪乱しない施業を行うことである。