国内製材業の製品出荷を対象として, 「木材輸送量・距離 (ウッド・マイレージ)」を算出し, 変化動向の分析と変化要因の検討を行った。その結果, 以下の点が明らかになった。1) 平均輸送距離は, 1962年から1980年にかけて縮小し, 1980年から2002年にかけて拡大した。2) 1980年以降, 出荷量が多い県ほど遠くに出荷する傾向が顕著に強まっている。3) 県ごとの平均輸送距離のばらつきは, 1962年から1980年にかけて平準化の方向にあったが, それ以降は再び拡散している。4) 平均輸送距離の変化には, 素材・製品市場の構造変化と, それに伴う製材業の生産力配置の変化が強く影響していると考えられる。このため, 木材輸送量・距離の分析は, 木材市場や加工・流通主体の動向に注目しつつ行うことが重要である。