スギの雪圧害抵抗性の遺伝特性を研究するため, 雪圧害に対する抵抗性個体と感受性個体を用いて要因交配を行った。得られた人工交配家系を検定林に植栽し, 林齢が10年次に達した2000年に調査を行った結果, 感受性個体を親とする家系の傾幹幅は大きく, 特に雌親として感受性を用いた半兄弟家系では, 雄親に関わらず全ての家系で傾幹幅の平均値が100cm以上となった。傾幹幅については雌親間に有意差が認められたが, 雄親間には認められなかった。傾幹幅における狭義の遺伝率は0.96と高い値を示した。調査対象とした全個体から, さらに優秀な個体を選抜したときの遺伝獲得量を試算した。その結果, 傾幹幅の遺伝獲得量は約60cmとなり, 雪圧害に対する育種の効果は大きいことが期待された。