熊本県のスギさし木品種であるシャカインのクローン整理や採穂源の管理を目的としてCAPS (Cleaved Amplified Polymorphic Sequences) マーカーを用いた識別システムの構築を行った。既報で報告されている33個のCAPSマーカーのスクリーニングを行った結果, 安定したPCR増幅を示し, 遺伝子型の特定が容易で共優性型である六つのマーカーが選抜された。これらのCAPSマーカーによる16個体のシャカインの分類結果はマイクロサテライトマーカーによるものと一致し, CAPSマーカーによるシャカインのクローン識別が可能であることが確かめられた。6座のCAPSマーカーを用いて熊本県下に植栽されているシャカインを分析した結果, 220個体が27のDNAタイプに分類された。このうちの二つの主要なDNAタイプが全体の78.6%を占めた。また, 各造林地の構成型の割合から, シャカインは一般実生造林地から選抜された品種であると推察された。