本研究では岐阜県の民有人工林を対象に, 林業統計から京都議定書3条4項に規定された森林を計上する手法を開発し, さらに同面積を試算することを目的とした。京都議定書3条4項が規定する森林管理として植栽, 下刈り, 枝打ち, 除伐, 間伐を取り上げ, 補助金マスターをもとに1990年から2000年までの施業の実施面積を計上した。計上の際には, 施業面積を基礎とする方法, 小班面積を基礎とする方法の2とおりを試みた。試算の結果, 3条4項林面積を正確に推定するには, 施業面積を基礎とする方法を用いるべきであることが明らかになった。一方で, 小班面積を基礎とする方法は, 施業面積を基礎とする方法を代替できる方法であることが認められた。また, いずれの方法でも2000年時には民有人工林面積のおよそ半分が3条4項林に組み込まれていると推定された。