SSR (Simple Sequence Repeat) マーカーを利用し, 関東育種基本区内の835スギ精英樹の遺伝子型を決定した。遺伝子型の決定に利用した3種類のSSRマーカーは多型性が高く, 観察されたヘテロ接合体率の平均は0.831であった。識別能力を算出した結果, 0.98~0.99の範囲であり, すでに報告されているRAPD (Random Amplified Polymorphic DNA) マーカーよりもはるかに効率的に識別することができた。これら3マーカーで識別できなかった189精英樹についてはさらに5マーカーを追加し, 6精英樹のみが新たに識別できた。本研究で利用したマーカーのうち, Cjgssr 149は目的とする領域以外にもフラグメントが検出されたことから, 原因を明らかとするため二つの異なる精英樹について塩基配列を決定した。その結果, 重複したSSR領域が増幅されていることが明らかとなった。