本論ではパイプモデル理論を応用して広葉樹の幹と枝を束ねた相対幹曲線を求め, これを利用して広葉樹の2変数全木材積表を調製した。まず東京大学千葉演習林における二つのアカガシ・スダジイ林分を対象に98本の試料木を採取し, 地際から主幹または枝に沿って同一の長さにおける主幹・枝直径の2乗和の平方根を一定間隔で求め, 相対幹曲線をあてはめた。その結果, いずれの試料木に対しても相対幹曲線はよく適合し, これまでおもに針葉樹の樹幹に対して用いられてきた相対幹曲線は, 広葉樹の全木に対しても適用可能であることが示唆された。最後に同一の林分・樹種からなる55本の試料木より平均相対幹曲線を求めて材積表を調製し, これを異なる林分・樹種に適用した際の正確度・精度を, 材積式を用いる従来の方法で調製した材積表と比較した。その結果, 相対幹曲線から調製した材積表は, 材積式から調製したものと比して正確度では劣るものの, 精度は概ね同等であることがわかった。