九州の針葉樹人工林 ( n =59), 皆伐地 ( n =41) を対象に, 定着した樹木の本数を調査し, 定着本数密度の簡易な予測モデルを提示した。人工林, 皆伐地の全種の定着密度は, 対照として調査した広葉樹天然林と比べ低かった。とくにブナ科高木種などの林冠優占種の定着は困難であることがわかった。数量化I類による定着密度予測モデルの決定係数は, 人工林, 皆伐地とも, 全種の場合に比べ, 明るいところを成育適地とする陽性高木種に区分した方が高かった。定着密度に大きく影響した要因は, 人工林では傾斜角, 皆伐地では標高と, 両者で異なる点もみられたが, 成立後の年数 (林齢, 皆伐後経過年数) が最も大きい点は共通していた。本研究では, 光環境に対する樹種特性を反映させた種群でまとめることにより, 標高や林齢など地理情報や森林簿から容易に得られる情報から定着密度を比較的高い精度で予測することができた。