大径材生産を目標とした長伐期施業の事例として比叡山延暦寺所有の90年生ヒノキ林を対象に,間伐に伴う立木配置の変遷を L 関数を用いて解析した。過去2回の間伐によって最短の隣接木間隔は0.15 mから1.91 mまで増加し,立木配置がより規則的な一定間隔分布へと変遷した。立木配置の変化は前回間伐時に利用間伐を施した斜面中部において最も顕著であった。過去2回の間伐によって立木の生育空間が確保されたものの,強度の間伐によって林分成長量が減少している可能性が示唆された。空間統計学を応用した立木配置と林分成長量の定量的解析から,高齢林における体系的な長伐期施業法を確立することが期待される。