筆者は,日本の針葉樹人工林における遮断蒸発研究の12の計測例をまとめ,立木密度と遮断率の間に正の相関を見出した。その相関を回帰することで,遮断率[%] =0.00498×(立木密度[本ha-1])+12.0( R 2=0.43)なる関係式を得た。立木密度以外,降水量・樹高・樹種との関係についても検討したが,これらと遮断率の間に明確な関係は認められなかった。したがって,上式は,立木密度とそれに伴う葉面積指数の変化が樹冠付着水分量を変化させることを通して,遮断蒸発量に与える影響を表現しているものと思われた。この式は,日本の針葉樹人工林の遮断蒸発量が,成長段階や森林管理によってどのように変化するのかを考える基礎となる。