スギ・ヒノキの材質劣化害虫であるヒノキカワモグリガの幼虫の単木ごとの食害部位数に影響を及ぼす要因として,スギを対象として寄主樹木の樹高および樹高の年成長量について検討した。林冠閉鎖前のスギ若齢林において,樹高およびその年成長量と本種幼虫の食害部位数について6年間にわたって調べた結果,樹高と食害部位数の間には6年のうち4年において正の相関があり,食害部位数の多い年ほど相関が高かった。幼虫数の多い年には,樹高が高く樹冠量の大きい樹木ほど寄生数が多くなるものと考えられた。一方,樹高成長量と食害部位数の間には6年のうち1年しか相関が認められなかった。