暖温帯に位置する静岡大学上阿多古フィールドにおいて,広葉樹29種の開芽フェノロジーの観察を10年間行い,有効積算温量法と温度変換日数法を用いた,開芽日予測法の検討を試みた。どちらの予測法でも,起算日を2月15日に設定した場合に,推定誤差が最も小さくなる樹種や個体が多かった。有効積算温量法の場合は,推定誤差を最小にする限界温度は,およそ-7.5∼-2.5°Cで,温度変換日数法の推定誤差を最小にする Ea (温度特性値)は,およそ10∼15と算定された。どちらの予測法でも,推定誤差が最小となる積算温量(または温度変換日数)と起算日の組み合わせを用いることで,ある程度まで精度の高い開芽日予測が可能になると考えられる。議論では,二つの予測法の利点や問題点について言及した。