クロマツ海岸林の飛砂防備機能を評価するため,林帯前縁から内陸側700 mまでに捕砂器を設置して落下飛砂量を測定した。落下飛砂量は前縁から約20 mの位置で最大値を示し,その後は急激に減少して,約110 m以遠では微量になった。任意測定点から内陸最奥測定点間の落下飛砂量を通過飛砂量とし,任意測定点を前縁から順次移動したときの通過飛砂量と前縁からの距離の関係を解析した。通過飛砂量の減少過程は,前縁からほぼ60 mまでの減少率が大きい範囲と110 m以遠の小さい範囲に分かれ,それぞれ指数関数で近似された。これは減少率が大きい範囲の林帯を失うと,飛砂防備機能が大きく低下することを意味する。この結論は樹冠が捕捉した飛砂量を考慮しても変わらなかった。