森林総合研究所は毎木調査を中心とした長期測定データをデータベース化し,森林動態データベース(forest dynamics database: FDDB)として公開している。データベース(http://fddb.ffpri-108.affrc.go.jp/index.html)は北海道から九州まで8カ所の長期生態観察試験地(4∼6 ha)で測定された成木,稚樹,実生,種子,落葉落枝などのデータで構成されている。web上で公開データの中から樹種を選択すると,空間分布や直径分布をweb上で図表化できる。この総説では森林動態データベースを開発した経緯や研究上の功罪を記述し,今後の森林データ公開の方向性について議論した。大学や研究所で所有する森林データは公共性の高い情報である。国民に対し広く情報を公開し,森林への理解を求めることはきわめて大事である。そのための森林データの標準化・統合化と公開は避けて通れない。今後の森林科学の発展のため,多くのデータを公開し共有化する努力が必要である。