霧島山系のモミ・ツガ天然林の再生方法として人工林を天然林へと再転換する方法に着目し,種子源の配置が人工林林床におけるモミ稚樹の定着可能性に与える影響を検証するために,ロジスティック回帰分析により稚樹の存在確率の予測を行った。天然林パッチおよび母樹個体という異なる種子源の情報を用いて回帰分析を行った結果,天然林内の母樹からの距離と母樹の胸高断面積を考慮した場合が最もあてはまりがよく,大径の母樹にきわめて近い場所に稚樹は定着しやすいことが明らかとなった。また,稚樹の存在を精度よく予測するためには母樹の個体レベルの情報が必要であり,再転換候補地の選定にあたってはこのデータを整備することが望ましいことが示された。