木質チップの自然乾燥を促進する方法として,定期的な撹拌の効果を実験により検証した。コンテナを用いて60 cmの層厚で堆積保管し,周囲環境の影響も比較するために屋外(雨よけなし),屋内,ガラスハウスの3箇所で,98日間含水率の変化を計測した。週1回の撹拌の効果は顕著であり,撹拌なしの屋内よりも撹拌ありの屋外の方が,また撹拌なしのガラスハウスよりも撹拌ありの屋内の方が早く乾燥した。撹拌なしでは乾燥が進むのは10 cm深程度までであった。撹拌ありでは撹拌なしの5 cmよりも下の層に比べて乾燥速度が速かったこと,および密封チップ片を用いた実験ではチップ片間の水分移動はほとんどなかったことから,撹拌による乾燥は撹拌時におもに進むものと考えられた。送風乾燥実験からその効果は風速2.8∼4.6 m/秒の送風乾燥に相当するものと推定された。